Linux Mint19をインストールする時にXfceにするかCinnamonにするかでかなり迷った。使い慣れてるのはXfceだけれどCinnamonのハードウェアアクセラレーションも気になる。

一般にXfceは軽いといわれている。だがPC界隈で「軽い」という言葉はメモリ使用量の事なのか処理の軽さを指しているのか人によって定義がズレてるのが困る。海外のフォーラムを見ても「古いノートPCでもCinnamonのほうが快適」だの「本当に古いPCだとXfceのほうが速い」だの各人の基準でてんでばらばらに主張してるのでどうも参考にならない。

いったんはXfceで行くつもりでSSDにインストールしてしまったのだが、どうにもCinnamonが気になる。やっぱり自分で試さないとダメだなと思い、余っていたHDDにMint19.2 Cinnamonをインストール。XfceとCinnamonの使用感を比較する事にした。

メモリ

Linux Mint19.2インストール直後のまっさらな状態で起動時のメモリ使用量はXfceが400MB前後。それに対しCinnamonは800MB超。

この差を大きいと見るかどうかは自分のPCのRAMをどれだけ積んでるか次第か。RAMが2GBくらいだとキツいが8GB・16GBと積んでたら誤差レベルだし。

なぜにCinnamonがこんなにメモリを喰うのかというと、よそのサイトで見た表現だがデスクトップ環境としてChromeみたいなブラウザが立ちあがってる。そう考えれば400MB喰うのも納得ではあります。

速度の話

まずワタクシの環境がおそらくはかなりの少数派であろうと断っておきます。
アニメーションとかする暇があったらとっとと表示せぇ!派なので特殊効果の類は全てOFF。スムーズスクロールもなし、行単位でスクロール。これは元から速度重視のソフトでは行単位に設定していたのだが、CRTから液晶に換えた時に残像に馴染めなくて全面的に採用してずっとこれで通している。

そんでPCは相変わらずA10-7850Kのまま、グラボもなしでiGPU任せ。いいかげんRYZEN Gに換えたいところなのだが…。
モニターの解像度は1920*1080が1枚だけ。

でだ、こんな設定でXfceとCinnamonを比較するとどうなるか?

あれこれウィンドウを操作してみても体感上では全く描画速度に差を感じられない。CPU使用率も誤差レベル。OS起動時間はSSDとHDDの差があるけれど、それだけだ。ワットチェッカーで見ても消費電力に差は見られない。(Mint19XfceはSSDなので消費電力のみMint18Xfceとの比較。)

視覚的には各種特殊効果を切ってもCinnamonのほうがキレイ。ウィンドウやメニューの縁に影がつくぶん見易い。とはいえXfceでもComptonと併用すればOpenGLで透過や影を落としたりなどできるからそこまで差がある訳でもない。

(追記:xfwm4のみでも影はつけられるのだがCPU描画になるのでxfce4+Comptonを選択したほうが負荷は低い。ただしcompton.conf作って影を有効化する設定を書く必要あり。そしてMintのComptonはバージョンが古く一部のアプリで影がおかしくなるため例外指定が面倒くさい。)

正直なところ、ここ数年のドロップシャドウありきのフラットデザインにはちょっと辟易している。影がなければ境界がわからないデザインってどうなのよ?

自分の環境だとデザインが気にいったとかでもない限りCinnamonにする必要はなさそうというのが結論だ。一時はCinnamonで再インストールするか真剣に悩んだのだけれど、これでスッキリした。

(追記:CinnamonのファイルマネージャNemoはXfceのThunarより細かく設定でき気が利いているし分割表示も可能だ。ただまあ必要なら自分でインストールすればいいので評価には入れてない。)

補足

A10-7850KのiGPUであっても1920*1080程度のモニター1枚であればゲーム以外なら性能に全く問題はない。CinnamonどころかKDEだって大丈夫なのは確認済み。

Cinnamonについてだが、おそらく特殊効果盛り盛りだったり、モニターの解像度が上がるほどにハードウェアアクセラレーションで有利になってくるはず。(スムーズスクロールの有無もかなり大きいんじゃないかと思います。)

CinnamonのウィンドウマネージャMuffinの内蔵コンンポジタをOFFにする方法が調べてもわからなかった(切れない?)。ゲームをフルスクリーンでやるならコンポジタをスルーして直接描画するからパフォーマンスに影響ない(一応そういう事になっている)。問題はウィンドウ表示にしたい時で、コンポジタを介するロスがわずかに出てくる。まあ、気にするほどじゃないとは思うが…。

Mint19 Xfceはカラーマネージメント非対応。Xfceの最新版4.14なら対応なのでそれがMintに採用されるのを待つしかない。自分で4.14に差し替えるのはあまりよくないらしい。おかげで色々と手間がかかる。それに比べMint19 Cinnamonはカラマネにデフォルトでちゃんと対応してるのがエラい。

自分のメインブラウザはVivaldiでGPU支援を片っ端から有効化している。そして調べ物がある時はタブを2〜30くらい開く事も珍しくない。この状態だとRadeontop調べでVRAM使用量は400MBを超す。他にVRAMを使用しているプロセスのぶんを引いても300MB超だ。Chromium系のブラウザでタブをドカドカ開くのであればMintでどのエディションを選ぶにせよVRAMは最低限512MBくらいあったほうが安心かも。(それかGPU支援を切るか)