Risen3タイトル画面

Gothic3の制作会社なのでちょっと期待していた。しかし、Piranha Bytesの変にマゾいゲームバランスと拘りに中途半端なゲーム機向け調整が合わさった感じで第一印象はかなり悪い。

どうみても一本道のマップ構造にカットイン山盛りで「そういうゲームなの?」と萎えまくるが、とにかくチュートリアルの第一章(Crab Coastの宝探しね)をクリアするまで我慢。

他にもチュートリアル中に回復ポイントが一箇所もないので体力回復は消費アイテムのみってのも酷い。このゲームの戦闘は慣れるまで難しいから海賊の焚き火あたりに水樽でも置いときゃいいのにね。メタスコアの低さはチュートリアルのせいも大きいんじゃないのか?

この先もずっとこんな感じなのかと不安になるが、チュートリアルさえ越えれば印象がガラリと変る。これ以降はいかにもGothicシリーズの続編だなぁという感じになってそれなりに自由に旅を楽しめるようになる。

Risen3風景
Enhanced Editionなので意外とグラフィックが重い。 設定は全て普通、陰のみ低。

とはいってもあくまで手をつける順番に自由があるというだけで話そのものは完全に一本道。シナリオはごくフツーのRPGで可もなく不可もなくという感じ。話に期待したらアカン。

マップ構造

Risen2と同じく舞台は複数の小島。これってやっぱり1つの大陸よりも島にして小分けにしたほうがメモリ的に楽なんでしょうね。でも、島が多くてどこまで踏破したのか紛らわしいのが少ししんどい。白地図形式ならよかったのだが…。
いかにも怪しげな場所を探索した後にクエストでまた行かなくちゃならなくなるケースが多いのもまた辛い。

マップの総面積でいえばRisen3のほうが広い(やっぱGothic3のほうが広いかな?侵入不可区域がけっこう多い)と思うのだが、一つの大陸になっているGothic3のほうが旅をしている感覚があった。距離感というんですかね、一つ一つの島が小さいため「遠くにきたなぁ」みたいな気持ちがわかない。
チュートリアル終了後に船という名前のファーストトラベルでほとんどの島に行けてしまうのも原因だろう。確かにロケーションは変わるのだけれど有難味を感じないのね。

仲間の移動経路の関係だと思うのだが、マップの構造は一部開けた所があるくらいで基本的に道の組み合わせしかなく自然な地形とは程遠い。Gothicのようなうっかり森に足を踏み入れると迷ってしまう…だから最短距離をつっきるのでなく道を歩いていこう、みたいな感覚はないのがガッカリ。

Risen3_Leviathan

戦闘

近接よりも銃が楽という意見が多いがワタクシは近接メインでしたね。マスケットは狙いつけるのが面倒で…。慣れれば近接もけっこう楽ですよ?敵がやたらにガードやドッジを駆使してくるのが何だけど。スキルのカウンターすら躱してくるのがまたインチキくさい。しかしワニのバックステップとかどうにも違和感あるのだが…。

それにコンボがなんであんな仕様なのか理解に苦しむ。VFのPPPKみたいな感じなのだが、間にドッジやガードを挟んでも隙の大きいコンボの2・3段目が出ちゃうとか。
先行入力が効く&目押しが途切れるとオートターゲットというのがこれまたクソ仕様。敵を倒した後にいきなり近くのNPCに斬りかかってしまったり、逆に目押しに成功してる間は生きてる敵を無視して延々死体に斬りつけ続けるという…。
(なお、このオートターゲットは背後で画面外になっていてもおかまいなしだ。うまく使えばクリックだけでまわりの敵を次から次へと薙ぎ倒せなくもない…かもしれん。)

Dragon Snapper
序盤の強敵Dragon Snapper

武器を持った人型の敵はモーションがNameless Heroと同じなので攻撃の隙が多く弱い。獣のほうがモーションが短く攻撃の間に割り込めないため手強い。もうこの傾向は伝統か。

近接のコツは相手も目押しコンボを使ってくるので無理に攻撃せずにドッジで躱すかガードでしきり直してから攻撃、これだけ。目押し成功中は多少ガードやドッジされようがおかまいなしでハメ続けられる。

Risen3艦上戦
大砲撃つミニゲームとか微妙な変化はあるんだけどね……

船での海戦・巨大生物との戦闘はつまらん。こういうの入れたくなるのは理解できるんだけど。
しかも使い回しが酷い。特に敵船との戦闘がね、既視感ありすぎというかグラフィック差し替えただけでやる事はほとんど同じという…。

Factionと魔法

最初はGuardianにする予定で進めていたが、Mage連中の言動と自キャラの外観が好きになれないので、結局Demon Hunterになってしまった。あと魔法のモーションがかめはめ波というか波動拳っぽくてすごくマヌケに見えるのもちょっとね。(Horasの船上での演武が怪しすぎてもう…)

Horasの演武
Horasの演武。モーションがもろに中国拳法。

どのFactionを選んでも消費アイテムで違うFactionの呪文が使えちゃったりする訳で差別化に成功してるとは言い難い。Demon Hunterのウリは強力なバフと召喚なのだが、他Factionでもルーンで同じ呪文が使えちゃう。ぶっちゃけ呪文唱えるより消費アイテムのほうがクールダウンがないぶん使い易いってのが何ともまぁ。

魔法には個別のクールダウンだけでなくグローバルクールダウンもある。このせいで3つバフを重ねがけするのに時間がかかってしょうがない。しかもバフの発光1つ1つに光源処理が行われるため激重…なんなんだこの仕様は。

ゲームのボリュームというか仕掛け的に2回もプレイしたら見落しはなくなるので、3つのFaction全てでクリアする気ににゃとてもなれん。

総評

なんというか、細かい変更・追加点はあるけれどシステム的にはGothic3で、正直なところGothic3からの進歩はあまりない。樽で水呑む姿とか焚き火で肉焼いたりとかまんま。(水呑みが1回で体力全快になったのはめでたい。)
Risen3はグラフィックがちょっと綺麗になってマーカー完備したぐらいかな?

ただ、ゲーム機のコントローラーでの操作前提でUIが作られてるっぽいのが気にくわない。マップとかセーブ・ロード画面とかね。
セーブしようとして気づかないうちにセーブデータ削除してた…というのを何度もやらかした。保存[E]の表示から少しカーソルが右にずれただけで削除になるのは本気でどうかと思うのだが。

Risen3ロード画面
このカーソル位置で削除になるのはいかがなものか

とりあえずサブクエストを含め目的がなくなったりしないし、マーカーがあるので行くべき場所がわからなくなったりもない。こういう仕様のほうが遊びやすいし好きな人も多いとは思う。

ワタクシ個人の感想としてはGothic3のほうが好きですね。ゲームに慣れてくるとマップの構造的に探索というよりも確認作業に近くなるのがこう…ちょっと。接待臭がキツくて世界への没入感が薄いというか。やる事が途切れないからそのまま続けちゃってるけれども、それはゲームの物語や世界に魅かれて…とは違うのだ。

実はこのゲームって難易度は相当に低く、苦しいのは戦闘システムに慣れていない序盤だけと言い切れる。敵の強さが中盤でもう頭打ちになっちゃってるのだ。リバランスMODが全て敵強化の方向性で作られてるというのも納得。
あまり詳しくは書かないが能力値アップのポーションの存在と能力値100(105)キャップのせいでNameless Heroの成長曲線が変になっちゃってる。なので育成失敗ぐらいのほうが手応えがあって楽しめるかもしれん。

古城跡
雰囲気はそこそこいいんだよね

一番盛り上がったのがCaladorの西にある古城跡攻略戦。雰囲気もよかったし、ちょうど日没寸前の突入かつ強敵もいて緊張感もあって探索も楽しめた。ここらでゲームの1/3消化ぐらい?この時点で80点ぐらいの評価。以降は苦戦らしい苦戦もないし、アイテム配置の法則みたいなのも見えてきて探索欲が少しづつ薄れていく。結局クリア時点では70点ぐらいの評価が妥当かなぁというところ。

本当にフツーのRPGで細かい不満はいくらでも出てくるんだけど、特筆すべき良いポイントってのが思いつかない。ちゃんとクリアはしたんで楽しめない・詰らないゲームとかいう事ではないのだが…。ゲーム機向けに遊びやすくした代償にGothicから尖った部分をゴッソリ削ぎ落としてしまった…そんな印象。

ゲーム世界を放浪するのが好きな人には向かないが、シナリオに沿ってクリアが目的なら悪くない。「久しぶりにRPGでもやるかー」ってプレイしてクリア。思い残しもやり残しもなく終えてキレイさっぱり忘れられる。

あー、そうそう、クモ嫌いの人は注意。そんなにリアルじゃないけど大量に出てくるんで。

Steam "Risen3 Titan Lords"