実際に使用した感想その他を参考までに記述しておく。

動画視聴&ゲーム

AMVA+の良い面、悪い面が両方。
とにかく黒がちゃんと黒く、しかも暗部の階調も見えるので映像のクリア感がIPSとは段違い。(そうはいっても部屋の照明を消すとけっこう黒が明るくはなるが)

その一方で、VA方式の弱点である応答速度の低さが露骨にわかっちゃうケースもある。BenQのオーバードライブ「AMA」を高に設定していてもEA232WMi(ODなしe-IPSで14ms)と同程度か少し悪いかな。暗い色から暗い色への応答速度が特に悪いようで暗→明やその逆は大丈夫。中間調や明部はODなしe-IPSよりは良い。デスクトップの壁紙が暗い色合いだとAMA「高」でもマウスカーソルがわずかに尾を引く感じ。

AMAは「OFF」→「高」→「プレミアム」の順で強力になるらしいが、「プレミアム」にしたからといって残像感がなくなる訳ではない。というかプレミアムにするとオーバーシュートのせいか、かえってカクついて見えるような気がする。配色やスピードにもよるがSVPやFluid Motionで60fps化すると映画のスタッフロールもけっこう見易い。

自分としては映像のクリア感のインパクトが絶大だったのでプラス面のほうが大きい。

このくらいのゲームなら残像はほぼ気にならない

遅延は特に感じないので「60Hzなんて使い物にならない!」って人以外ならゲームもそこそこ大丈夫かな。もちろんCRTのように高速で動いているものがクッキリ見えたりはしない。例えば古いゲームだけど「タイピングオブザデッド」のミニゲームだと高速で動く文字列が残像で読めないのでゲームにならない。2Dシューティングゲームなんかだと要は画面全体を漠然と見て敵・弾の軌道が読めればいいのでたいして気にならない。

『Downwell』はコントラストが高い配色のせいか思ったよりも平気。プレイは厳しいのだけれど残像のせいというよりも、色使いが紛らわしくて自キャラが他のオブジェに埋もれてしまうのと動きが速すぎて動体視力が追いつかないのが大きい。

downwell
ウィンドウモード拡大率2倍ぐらいまでに抑えたほうが見易い

GW2470Hに限った話ではないが液晶モニタの残像感はフルスクリーンなどで大面積が動く、あるいは単純に移動量が速く大きい場合に目立つ。

写真鑑賞

厳密なマッチングが必要な人には使いものにならないかな…ってこの価格帯でそんな期待する人もいないか。視野角による微妙なコントラストの変化はレタッチや現像だとツール類が左右に配置されているソフトが大半なのであまり問題にはならないんじゃないかと。

鑑賞においては写真などの表現がとても魅力的。他方式(TN・IPS)の約3倍のコントラスト比3000:1からくる黒の締まり。それにも関わらず潰れが少ないため階調がとても豊かに感じる。ポジフィルムをライトボックスで透かして見るのが好きな人ならハマる描写かも。

VAの描写は黒の濃度が高くちゃんと黒になるのでモノクロもいい感じ。IPSだとBW400CNの同時プリントみたいに黒が純黒にならず何となく下手なプリントっぽい見え方になるんだよね。

IPSで階調を明から暗までしっかり出そうとすると輝度をかなり高くする必要があり、その状態だと眩しくて常用には厳しい。GW2470のAMVA+だと眩しくないレベルまで輝度を落としても暗部の見え具合にあまり変化がない。普段使いの設定のままで現像やレタッチできるってのはほんとに楽だ。色域の関係でウルトラマリンのような赤系の青には注意。自分に見えているよりも紫に寄っている可能性を忘れずに。

目の疲れについて

GW2470Hは白がしっとり滑らかでキレイ。それはつまりドット間の隙間があまりなく発光面積が広いって事でそのぶん眩しく感じる。幸い、輝度はかなり落とせるのでその辺は問題ない。この傾向はNECの2190UXiに近い。S-IPSみたいにドット間の格子が目立つパネルって最近は見かけないけどね。

輝度が高すぎたり距離が近すぎたりすると目の奥が痛くなる。輝度を適切な値に調整し最低でも60cmぐらいの距離をとって見ているぶんには疲れづらいような。

自分の使ってきたディスプレイを疲れにくい順に並べるとこんな感じ。
L565(S-IPS)>2190UXi(SA-SFT)>EA232WMi(e-IPS)
GW2470Hはやはり2190UXiが近いかなぁ、ちょっと落ちるかも?

ブルーライトなんたらは…電磁波防止グッズやマイナスイオンやらと同じようなモンですな。青を落としたセッティング追加するだけで新機能を謳えるんだから、言ったモン勝ちやったモン勝ち。そらどこのメーカーも採用するわなぁ。L565が疲れにくかったのは経年変化で黄色く染まってるから…なんて訳でもあるまいし。

GW2470HはPLUSじゃない無印ブルーライト軽減なので、数種類あるどの軽減モードでも程度の差こそあれ画面が黄色に偏る。部屋の照明が電球色なら気にならないのかもしれないが、自分は使う気にはなれなかった。

眼の疲れには適切な輝度に設定して、ちゃんと忘れずに休憩をいれる。そしてディスプレイを見る距離とは別の遠くの景色とかにピントを合わせて凝り固まった眼の筋肉をほぐすのが一番。

総評

VA方式のディスプレイは初めてだったが予想以上に良いですな。奥行とか光の表現がかなり変わるので写真や動画を色々見比べたくなる。

それまで使っていたEA232WMiの半額の癖に階調表現が凄く良くなったので満足感が高い。ブラウザその他で見えなかった階調や色が見えてきて感激する…というより「どんだけ狂った環境でPC使ってたんだ?」と冷や汗が出る。

DVI接続がないとかスタンドの高さ調節ができないとか値段なりのショボさはしょうがない。パネルの性能は残像が気になるようなゲームをするとか、カラマネ必須みたいな人以外には必要十分。安IPSの6bit+FRCよりこっちのほうがいいんじゃないかな?

万人向けとはいえないがコストパフォーマンスの高い逸品。2017年に買ったものの中でトップクラスのお気に入り。現在は後継機種のGW2470HLにモデルチェンジしたようだ。違いはブルーライト軽減がPLUSになったくらい?