現在所有している2190UXiは壊れかけだしEA232WMiはへたってきた感じだ…。そろそろ代替を探さにゃ。

聞くところによるとVA方式のパネルは目に優しいらしく、しかも黒が締まるのでコントラストが高いらしい。しかし近年はIPSパネルの価格が下がった事もあり、ゲーム用途でTN、それ以外はIPSのディスプレイがほとんど。VAを採用したモデルを出しているメーカーも少なくなってしまった。

まあ、早い話が絶滅前にVAパネルを試しておきたかっただけ。何せ2190UXiなんて国内で入手不可能になってから欲しくなったので仕方なく個人輸入するはめになった、ああいうのはもうたくさんだ。

タイミングやショップにもよるが激安で売られてて、自分の場合は約14k円で購入。この金額ならハズレでも痛くない。最初に結論から書いてしまうと「この値段でこの出来なら大満足」というところ。

※長くなったので記事を分割。後編は動画・ゲーム・使用感etcについて。

外装その他

本体はとにかく薄い・軽い、ついでに高級感はなし。取手のような安心して掴める部分がないので、箱からの取り出しやスタンド装着時など持ち方に注意が必要かも。外箱のサイズも小さく、およそ65×40×12cmというところなので保管場所にも困らない。

付属のスタンドは高さ調節ができないうえにベゼル下から机まで10cmぐらいある。VESA穴があるので他からスタンドやアームを流用したほうがよい。

設定などの操作ボタンはベゼルの右底面に配置。邪魔にならないのはいいがちょっと操作しにくい。

接続コネクタはHDMIが2つとD-Subが1つ。ケーブルもそれぞれ1.5mのものが付属。DVIがないのが痛い。(後で気づいたのだがGW2470HMというモデルがあり、そちらはDVIとHDMIがそれぞれ1つづつ。一応スピーカーもあり。こちらを買うべきだった。)

ヘッドホン端子は一応あるけれど音質が悪いかな。→追記:Xonar STのヘッドホン出力よりも明らかに悪いが(Linux)、GA-F2A88X-HD3のオンボード蟹サウンドと比べたらGW2470H経由でRADEONのHDMI出力のほうが良い感じ(Windows)。このへんは使っているヘッドホンやスピーカー、サウンドカード・USBオーディオなどとの相性もあるので何とも言い難い。

キャンペーン(既に終了)でもらえた変換アダプタはAmazonなどで売っている『カモン HDMI19ピン→DVI24ピン変換アダプタ』ですな。DVI延長ケーブルの先に装着して、そこから付属のHDMIケーブルをモニタに接続して問題なく使用できてる。

カモン HDMI19ピン→DVI24ピン変換アダプタ

ファクトリーモード(BenQ Service Page)

Menuボタンを押しながら電源ON

入力に成功していれば通常のメニューの代わりにファクトリーモードになり、紫のロゴ画面表示のON/OFF設定や使用時間の表示などが可能に

消費電力実測値

現在は輝度1で使用しているが消費電力は8〜9W程度。

輝度消費電力
109〜10W
3012〜13W
5015〜16W

画質

購入したそのままのファクトリー設定で表示される画面はムチャクチャなのでそれで評価しちゃダメ。あくまで自分で設定を詰める必要がある。
ブラウザで画面を見ながら簡易キャリブレーションできるサイトLagom LCD testなどを参考に設定するとよいです。(昔あったAdobe Gammaみたいなやつ…といって通じるのか?)

youtubeでEIZOのEV2450と比較して暗部が潰れるとか値段なりの差があるとか評価してるのを見たけれど、あれはおそらく何も調整していない素の状態で比較してるだけですな。あんなの何の参考にもならん、つーかあれじゃネガキャンだよ。

HDMI接続の場合はちゃんとRGBフルレンジで出力ができているか確認。できていないと輝度レンジが16-235になって画面が白っぽくなるらしい。自分の場合はRADEON+Linuxだったが特にPC側での設定はなしでも大丈夫だった。

パネルの表面はアンチグレアだがザラつきは少なく滑らか。そのぶん周囲からの反射も若干目立つような感じ。ドットの粒が目立たず、黒が艶のある漆黒という感じで美しい。また、ザラつきによる乱反射がないせいか描写にシャープ感がある。

表面処理について追記(2020/01)

GW2470Hの前に使っていたEA232WMiよりも表面処理のコーティング?がいいようだ。汚れがあまりつかないし拭き跡も残りにくい。NECのほうがコストをかけていそうなイメージだったので意外。

割と狭め?のベゼルだけれど明るさの均一性は良好に見える。暗くした部屋で黒一色の表示にしても隅の光漏れは無いようだ(個体差はあるかもしれん)。

視野角

話には聞いていたが見る角度によるコントラストの変化はそれなりにある。明部はあまり変わらないが暗部は斜めから見ると微妙にコントラストが変わって少し明るく見える。そうはいっても距離にもよるがちゃんと画面の中心と正対していれば「画面の端でコントラストが変わっちゃう」なんて事はあまりない。e-IPSのような安物IPSよりはるかにマシでほぼ真横から見ても画面全体が露骨に白っぽくはならない。

ここで付属スタンドだと高さ調節ができないというのが問題になるのだな。楽な姿勢でディスプレイを見るためにも高さ調節のできるスタンドに交換すべし。自分はEA232WMiのものを流用。

色・階調表現

事前の情報収集ではAMVA+パネルは色が薄いとよく見かけたのだが、全っ然そんな事なし。GW2470Hの場合むしろ色が濃すぎるぐらい。どうやらガンマ値がどの設定でも高すぎるのか中間調が落ち込み気味のため重い発色になっているようだ。

GW2470H_Gamut表示
点線がsRGBの色域
色域はよくある三角形表示だと違いがわからなくなる箇所が多いのでこの形式で見比べるほうがよいです

CD付属のGW2470Hのiccプロファイルで見た色域だと青からマゼンタにかけてsRGBに少し足りず、緑-黄-赤にかけては越えている。sRGBのカバー率だけでいうと2190UXiとほぼ同じで紫寄りの濃い青が苦手。

画質設定

いじり出すと泥沼に嵌る……もう疲れた。

sRGBモードは設定をいじれない項目も多いが、とりあえず色だけは無難にまとまる模様。

輝度

初期設定ではとんでもない明るさだが、かなり明るさを絞れる。BenQだから輝度落とせないだろ、みたいな決め付けはだめ。
自分の場合10前後で使用中。

輝度を落としても暗部描写にはさほど影響しないので見易い明るさまで遠慮なく落としてOK。ちなみに輝度は数十単位で上げてようやく暗部で潰れるかどうかの見え具合が256段階中の1〜2変わるってレベル。輝度の上昇で黒も浮いてきちゃうから調子に差が出にくく、暗部の持ち上げ目的だとあまり意味がない。

コントラスト

どうも一般的な意味でのコントラストではないっぽい。輝度との違いがよくわからない。8bitパネルという都合上、結局デフォルト値の50からあまり動かさないのが無難と思われる。

ガンマ

デフォルトのガンマ「3」だと輝度0-255中の10以下になると急激に落ち込み、肉眼での階調の判別が非常に厳しい。暗部の階調表現を豊かにしたい場合はガンマ設定をいちばん低い「1」まで下げる事が肝要。(おそらく「1」がガンマ2.2相当)

これで画像の輝度0-255のうち5-253ぐらいは輝度にもよるが確実に見分ける事が可能になる。背景0に対し4はかすかに見えるぐらい、3は厳しい。適切な設定であれば背景255に254も判別可能(でもその時の体調にもよるギリギリな感じ)。

Tone response curves GW2470H
Tone response curves GW2470H

付属のiccプロファイルを適用するとガンマカーブが補正されるようで中間調がわずかに持ち上がるっぽい。

「シャープネス」

Lagomでチェックした限りでは4が最適値でこれより上げる必要はなし。5から上はシャープネス処理によりリンギングが出る。好みでもっと下げてもよい。

「色温度」

標準・薄青・薄赤の3つとユーザー設定で計4種。ケルビン値の表示はないからかえってわかりにくいぞ。薄赤はsRGBに近いがもう少し低い色温度。これら3つのプリセットを使うと色の調整はできない。
ユーザー設定はRGB毎に0〜100を指定して色調整。

Linuxでのiccプロファイル適用方法がようやくわかったので、さっそく付属iccプロファイル適用してみた。すると見事にユーザー設定を何もいじらず(R100、G100、B100)外光の影響のない暗くした室内や色評価用蛍光灯下においてキレイなニュートラルグレーが出るようになった。しかもsRGBモードよりもグレーの転びが少ない。(白→黒のグラデを表示させると明るさによって赤みがかったり緑に寄ったり違った転びかたになる…。)

色温度はsRGBモードより高めではあるが、sRGBモードがどうも6500Kじゃなくて6000~5500Kぐらいのような感じの色合いに見える。(デジカメで画面を撮影してRAW現像するとこれくらいの色温度とマッチする。ただしレンズの色味も影響するので正確ではない。)
色々数値をいじって試行錯誤してた数日間は何だったのだろうか…。